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お葬式

今日は悲しく、そしていつもに増して長い日記です。

木曜日、友達のお姉さんのご主人のお葬式に行って来ました。
正直、彼のことはあまりよく知らないのですが、
お姉さんと子供達とは長く仲良くしているので、
どちらかといえば、後者のサポートという形での参列。

ご主人とは数える程しかお話ししたことはないけれど、
大きくガッチリした体格とは裏腹に、とても物静かな方でした。
2人とも再婚で、お姉さんは11歳の娘と13歳の息子の2人の連れ子。
ご主人の方にも21歳になる息子さんがいらっしゃっるのですが、
一度も会ったことがないので、おそらく親権は元奥さんに。

クリスとカープール(相乗り)して、州都まで約1時間のドライブ。
ご主人は元空軍、元連邦保安官だったので、
お葬式はNational Cemeteryで行われました。

過去に3度お葬式に行ったことがあるのですが、
どれも環境やしきたりが違い、未だに戸惑うことばかりです。

英語の授業で「お葬式」=「Funeral」と勉強して来たけれど、
実は「Funeral」は、故人の宗教や職業、家の伝統や文化が反映されるお葬式。
故人が無宗教だったりする場合は「Memorial Service」と呼ばれます。
   宗教での違いが一番大きいので、もしお葬式に参列される方は
   事前にマナーなど調べておくことをオススメします。

日本でいうお通夜の「Wake」は、必ずしも行われるわけではなく、
亡くなって数日の間に行ったり、お葬式の直前に行ったり、様々です。
「Viewing」と言って棺の中のご遺体を拝み別れを告げる場合もあります。
ご遺体を棺ごと埋葬することが一般的でしたが、近年では火葬が増えて来ているとか。
   「Ash (灰)」と呼ぶように、グラインダーにかけて粉末にするので
   日本のように遺骨を拾うという習慣はありません。

ご遺体または遺骨を乗せた車を先頭に、墓地まで参列者が後に続きます。
墓地内にあるサービス場や埋葬場所のまわりでGraveside Serviceが行われます。

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私が行ったお葬式は、過去3回とも「Viewing」はありませんでしたが、
棺に入ったご遺体や拡大した写真が壇上に置いてあり、
牧師と喪主のみの挨拶があったり、参列者の中で希望者が故人について語ったり、
参列者が一人ずつバラの花を棺の上に乗せたり、喪主が歌を歌ったり、
どれも雰囲気やプロセスが違い、文化の幅広さを感じました。

今回、軍関係のお葬式だったので、軍の墓地でのお葬式。
   現役の陸軍、海軍、空軍だけでなく、ベテランに戦地で行方不明となった兵士達
   警官や保安官などの政府関係者、多くの方がここで眠っています。


映画でよく見かける、美しすぎる程計算し尽くされた墓石の並び、

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日本で墓地は「怖い」というイメージがありますが、
ここは逆に「静粛」「美しい」という表現の方がしっくりきます。

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こうして写真を撮ることも失礼にあたる行為ではなく、

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アメリカ人の中には趣味でお墓の写真を撮る人もいるほど。

墓石へのお参りには厳しい規制がありますが、

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お花や十字で飾られた墓石も沢山見かけます。
   枯れたお花は、墓地の管理者が定期的に掃除をしてくれます。

お墓参りに相応しい花というものがないのも、またアメリカらしいというか。

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   母が送ってくれる花のアレンジメントにはよく菊が入っていますw
   お花屋さんから、お花を送りたい相手の家の近くのお花屋さんに
   ネットで注文し、そこの花屋さんで作ったブーケやアレンジメントを
   届けてもらうことが出来るのですが、お花屋さんのテーストで
   ずいぶんと違った雰囲気のアレンジメントになります。

5月の最終月曜日の Memorial Dayには、墓石一つ一つに星条旗が飾られます。
   Memorial Dayは「戦没将兵追悼記念日」なんて訳されているそうw

高々と掲げられる誇りの象徴、星条旗も、墓地では常にHalf-mast (半旗)です。

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   他国でも行われているならわしですが、これは弔意を表現し、
   ポールの約半分の位置までしか旗を引き上げません。
   大統領や官僚が亡くなった時など、国中で見かける旗がHalf- mastになっています。
   日本でも天皇および皇族、総理大臣の葬儀の日に政府機関にて行われています。


服装は黒が多いですが、意外に自由で驚きます。
昔は黒以外、しかも女性はスカート以外は不謹慎とされていたのですが、
近年ではよほどでない限りは大丈夫な様です。
今回もGパンにTシャツ、サマードレス、白いパンツスーツなど様々。
軍人は軍服が規則ですが、友達の家系はスコットランド系なので、
彼のお父さんもお兄さんも、スコットランドの民族衣装を着ていました。
   後輩のお葬式の時は「私のお葬式に喪服を着て来たら許さないから!」
   と遺言にあったので、黒を着ている人は見かけませんでした。


現役軍人が15名ほどビシッと並ぶ中、
亡くなったご主人の親友だという男性が、代表でスピーチをしたのですが、
涙で時々言葉に詰まり、一言一言を噛み締める様なお別れの挨拶でした。
トランペットのレクイエムの演奏に続いて星条旗の儀式が行われます。
本来は国旗を棺にかけて墓地まで運び、埋葬の時にたたんで遺族に手渡すのですが、
今回は火葬後だったので、その場で行われました。
厳粛な雰囲気の中、2人の軍人が星条旗の端と端を持ち、
決められた手順をふんでぴっちりとした三角形に折り畳みます。

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一言メッセージが印刷されたバラの花を
灰の入ったツボの前に置いて黙祷し、

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故人の写真と好きだった言葉などを載せた紙をもらい、
式後は遺族へお悔やみの言葉をかけて解散です。

ご主人のことはあまり知らなかったのですが、
式中のJ君のあまりの様子に涙が溢れて止まりませんでした。
式後hugをしたらギュッと抱きついて泣いていました。
「I'm so proud of you」って何回言ったかわかりません。
ちょっと自分をクールに見せたがる、この年頃の男の子、
普段は大人ぶった話し方をしたりカッコつけたりする彼が
「I love you」って言ったら、素直に「I love you, too」って返して来て。
目もうつろ、泣きはらした目が痛々しかったです。

解散後はクリスのオススメの街内のレストランで昼食にすることにしたのですが、

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何と、私達がレストランに入った数分後にDown Townエリアの大規模な停電。
1時間ほど様子をみたものの電気が回復せず、少し離れた別のレストランへ。

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それからまた1時間ドライブして帰って来て、遺族の家で食事会でした。
リビングのテーブルにノートが置いてあるので、
参列者は名前やメッセージを書き込み、

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横にカゴを置いて、、
生前に故人が協力していた団体への寄付を募ります。
   三角形の星条旗も同じテーブルに飾ってあります。
ベジタブル・プレートやサンドイッチ、ピザなどの

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簡単な食事が準備されていたので、それをつまみながら故人の話をします。

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「Celebrate his/her life」と言うのですが、
お葬式は悲しみを表現する場所、食事会は故人の人生を讃える場所なのです。
涙をみせる人はここには誰もいません。

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彼のご冥福を祈るとともに、
遺族が少しでも早く笑顔になれることを祈っています。



今回の彼の死に関する私の個人的な強い意見を書いているので、
先を読まれる方は、白黒反転でお願いします。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


今回のご主人のあまりにも早い死は、悲しいと同時にショックでした。

ある日、娘のCちゃんが宿題を手伝ってもらおうとお父さんを探していて、
ガレージで首を吊っている彼を発見したそうです。
お母さんが家にいなかったため、慌ててお兄ちゃんのJ君を呼びに行きました。
J君が911 (日本でいう110番ですね)に連絡をして、
救急車が到着するまでの間に、オペレーターの指示で
お父さんの身体を何とか降ろし、CPR (心肺蘇生法)を試みました。
何とか一命を取り留めて病院に運ばれたのですが、数日後に息をひきとったそうです。

人生何事も上手くいくわけではありません。
大きな失敗をしたり、人に迷惑をかけてしまったり、いじめられたり、苦痛を強いられたり、
自分の不注意や努力不足が原因になることもあれば、他人の醜さの犠牲になることも。
生きていることが辛くなったり、
生きていることに意味を見出せなくなることだってあります。

そんな時目の前にある「逃げる」と「闘う」という2つの選択肢。
そのどちらを選ぶかによって、自分だけでなく周囲の人生だって変わるんです。

「逃げる」ことを選んで命を絶つ場合、同時に可能性も経ってしまうのです。
苦しい辛い日々が続いているかもしれませんが、では5年後はどうでしょう?10年後は?
その可能性を自分の手で摘み取ってしまうのは本当に残念なことです。
死後のことはわかりませんが、残された家族や友達の時間は止まりません。
現実的な話をすれば、救急車やお通夜にお葬式の手配、事後処理と、
肉体的、金銭的、時間的に多大な迷惑をかけるだけでなく、
その存在が失われたことによって生まれる悲しみや苦しみ、精神的な負担をかけるんです。
   5年ほど前に後輩を病気で亡くしましたが、
   彼女のことを思い出すと未だに辛いし、彼女の物を見ると涙が出ます。


もちろん「闘う」ことだって、容易ではありません。
時間はかかるかもしれないし、周りに助けてもらわなくちゃいけないかもしれない、
でも、どんな失敗だってやり直せるし、挽回のチャンスは必ず来ます。
自分の人生に終止符を打ってしまうことは、簡単ではないでしょう。
痛みや苦しみを伴うこともあれば、薄れ行く意識の中で先に立たなかった後悔をしたり、

「死ぬ気で頑張る」という言葉は、本当はこういう時のためにあるのだと思います。
自分の命を絶つということは、同時に全てを捨てるということ。
それだけの覚悟があるのなら、別の人生をやり直してみることだって出来るはず。
ありきたりだけれど、確信をついた名言「人という字は、人と人とが支え合っている様」
人は一人では生きて行けないから、集うんです。
「どうせアナタにはわからない」なんて決めつけないで、周りに助けを求めるべきなんです。
助けて助けられて、支えて支えられて、迷惑をかけてかけられて、それが人と人との関係。
私も過去に辛い経験を沢山して来たし、命を絶とうと考えたことがないといえばウソになる。
でも、そんな時心の支えになったのは友達と家族でした。

もし、今辛さ苦しみから逃れることを考えている人がいたら、
顔を上げて周りを見て欲しい。
闘うことをやめないで欲しい。
例え「家族や友達すら自分の死を悲しむとは思えない」と思っていても、
世の中には赤の他人の悲しいニュースを耳にして、涙する人間だっているのだから。

今回の彼の死は、多くの人を巻き込みました。
中でも一番の犠牲者は子供達。彼らの記憶から、
ガレージで見つけた父親の姿は一生消えることはないし、
彼らの世界の認識や価値観に大きな影響を与えただろうし、
2人の心中を思うと、怒りすらこみ上げて来ます。
残される家族のことを考えたら、絶対に出来ない、してはいけないことだったのに、と。

本当に、早く皆が笑顔になれる日が来ることを祈っています。



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by baratie3 | 2010-05-30 18:16 | Daily Life (日常)

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